Top10%論文を増やすには?


分野に寄りますが、top10%論文は年6回程度引用され続ける必要があります。 IFが小さい雑誌(ここから調べられます。JIF)は、一般的に読者の数も少なく、読んでもらう回数が小さくなります。結果的に被引用件数も小さくなりがちなので、IF1~2の雑誌でtop10%論文にするのは簡単ではありません。

top10%論文にするには、やはり、CNSを中心とする”ハイインパクトジャーナル”と呼ばれる雑誌に投稿するのがより良いです。しかし、専門的に優れているのは当然として、幅広い読者がいる分、一般的にも理解しやすい内容が求められる場合が多いので、編集者の審査を通すだけでも一苦労です。査読者が多くて掲載に時間がかかる場合もあります。特に、駆け出しの若手の頃は、なかなか掲載されにくいかと思います。そこで、IFの小さい雑誌でも、被引用件数を増やせないか試行錯誤してみました。

1.大御所のラボでセミナーをする。これが最も手っ取り早いです。大御所の先生も全てにアンテナを張っているわけではなく、持っている情報が米国コミュニティに限られる場合が多々あります。日本にいる貴方の論文の存在を知らない可能性は非常に大きいです。まずは大御所の先生に知ってもらい、そのラボの論文に引用されれば、自然と被引用件数は伸びます。国際会議がある場合は、周辺の大学を探って、あちこちでセミナーしてみるのがオススメです。

2.レビュー論文に紹介される。レビュー論文は多くの方に読まれやすいので、その分野のレビュー論文に紹介されることで、その論文は自然と伸びます。では、どうやったら掲載されるのか?その分野の王道に沿った内容で、世界初の結果やトップデータを出すことです。競争の激しい分野にいれば、この手法も有りかとおもいます。

3.オープンアクセスにする。その雑誌の読者が限られているのであれば、OAにしてしまえばいいというわけです。お金で解決。たしかに、2倍くらいの閲覧者にはなります。しかし、実際に被引用件数が伸びたかというとケースバイケースでした。2と同じで、流行りの分野で数値が出ていれば、この手法が効いてくるかと思います。

4.招待講演を受ける。これも被引用件数が増えますが、若手には国際会議で招待講演を受けるハードルが高いです。普段から学会業務や政治活動をしていれば、国内であれば招待講演を受けやすいですが、国内だけで認知度が上がっても、なかなか引用されません。

5.プレスリリースする。国内の閲覧者がとても増えます。特に新聞やネットニュースで紹介されると、分野外の人にも広まりやすいです。企業や他機関と共同プレスリリースする場合は、さらに認知度はあがります(ただし、論文が採択されてから出版される間に本社の確認を取る必要があり、企業側のハードルは高いです)。被引用件数を増やすには、国際的な認知度を高める必要があるので、Eureka Alertや英語リリースも積極的に活用しましょう。顔となる写真には、研究者と実験装置の写真や、Shutterstockなどを使うとよりアピールになります。

6.SNSを活用する。これも手法としては手っ取り早いです。自分でアピールできるので。今なら、linked in、Facebook、twitter、Researchgateあたりでしょうか。アピールした後、数日間は確かに閲覧数が伸びます。特に大御所の先生にLikeしてもらえると一気に伸びます。ただし、インフルエンサーに頼ったとしても、SNSでの告知では被引用件数は伸びないというデータもあります。

7.国際連携と産学連携をする。企業との研究は実用的な内容であることもあり、被引用件数も伸びやすい傾向にあるとされています。国際共著も海外機関から発信されたり、その国でも情報が広まることで被引用件数が増えやすいです。

8. 業績で求められる場合は、直近の成果なので、例えば「10月頃にLetter論文を投稿する」というのも一つです。2週間くらいの査読を2回繰り返す場合、編集作業を経て出版されるのが、ちょうど次年度の1月頃になるでしょう。2024年に審査がある場合、2023年の論文の被引用件数が「1」となる確率が上がり、上の表を見ると分かるようにTop10%論文となります(いいのかそれで?)。もちろん、3年くらい経てば意味を無さなくなってきます。他にも、5年分の成果が見られる場合、「自分で年6報以上の論文を5年間書き続ける」というのも手です。自分の直近の論文全てを引用し続ければ、被引用件数が年6回以上になるので、全てTop10%論文となります(本当にいいのかそれで?)。

総じて、まずは(a)企業や海外機関と連携して論文を書く。次に、(b)OAで掲載する。そして、それを(c)プレスリリースしたり、(d)SNSでアピールする。その後、(e)大御所のラボでセミナーして回ることで、年間の被引用件数はIFの数倍まで増やせるかと思います。その後、招待講演を受けたりレビュー論文に掲載されれば、IF1~2の論文でも年間6件以上引用されるはずです。流行りのテーマに飛びつくことなく、自分の興味に沿った研究でも、top10%論文にすることは可能です。(a)~(e)は自分の努力次第でできることなので、試してみてはいかがでしょうか?

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