政治をうまく活かせ!

研究成果が乏しく、自力で研究費を確保する力のない研究者でも、人間関係の立ち回りで研究費を取り続けることができます。ラボが大きくなるほど大切になります。研究費を安定して確保できると、大きなインパクトのある研究にも果敢に挑戦することができます。なるべく若い時期から、国際的な舞台で政治力を身に着けておくべきです


1.仲間を増やす・評価を高める
普段やるべきこととしては、学会やセミナーで積極的に質問しましょう。建設的なコメントをし続けていれば、周囲からの評価が上がります。学会発表や論文で質の高いものを提供していれば、着目されます。

次に、人間性です。日本なら社交性がなくても、研究者として生き残れますが、アメリカではムリです。国際会議では、バンケットやコーヒーブレイクなどで、色んな人に積極的に話しかけましょう。出張があれば、近くの研究者にセミナー依頼をしましょう。

後は、学会運営などに貢献することです。ただ、学会運営は雑用なのと、一度引き受けると抜け出しにくい雰囲気があります。30代の独立主宰者の場合、最初は、将来も参加し続ける学会だけに絞っておいた方が良いです。


2.国内のプロジェクトに参画
大グループのトップは多忙で、普段会う機会も少ないため、グループに入れてもらうこと自体が難しいです。既に研究協力者になっている人を探し、推薦してもらうのがベストです。途中からでも入れます。この際、上記の普段の草の根活動が功を奏します。

日本では、CRESTや新学術領域、NEDOといった大きなグループで活動する場合、研究成果が求められます。若手研究者は、実行部隊として動くことで、対価として研究資金を回してもらえる可能性があります。しかも、5年以上の長期間、安定して研究費を確保することができます。

さきがけや大学内の研究センターもそうですが、選抜されたグループには、入るだけで価値があります。優秀な研究者達とお互い高めあうことができるからです。グループ内での共同研究は、非常に勉強にもなり、有意義です。積極的に参加することをお勧めします。


3.国際的な舞台で活躍
政治がうまく機能すると、論文審査や研究費が通りやすく、賞も推薦されやすいと聞きます。私の場合、海外生活が長かったので、国内よりも国際共同研究の方に重点を置いています。国際的な繋がりを強化しても、研究費は得られませんが、学生の交換留学の話には繋がります。


あまり政治力に頼りすぎると、「嫌われると科研費申請が通らなくなる」とか「興味がない研究をしなければいけない」とか思うようになってしまうため、程々に。「お金を回すから言うことなんでも聞いてね」という毒饅頭のような話もあります。そういう話はきっぱり断れるように、お勧めのエフォートの割合は、自分の研究が8割、プロジェクト研究が2割程度です。兎にも角にも、研究費を安定して確保する、研究をスムースに遂行する上で重要なのが『政治』です。若い時から政治力をつけておきましょう!!


【営業活動】
私のお金集めのスタイルは、米国教員に習って動いています。彼らは非常にアクティブで、政治だけでなく、日本の教員よりも営業に積極的だと思います。企業との共同研究も、安定して長期間確保できる研究費の一つです。自分の方からコンタクトを取って、企業本社に自ら足を運んで、自分たちの成果や技術を売り込んだりしています。日本でも、大学が産学連携を促す企画をしているところが増えてきましたが、大企業がスタートアップ企業や大学を集めてシーズ技術を探索する企画をしていたり、国がJST新技術説明会イノベーションジャパンといった大イベントを企画したりしています。

私も、積極的にこれらのイベントに参加して研究成果を売り込んでいます。一日ポスターの前で立っていると少なくとも10社くらいと名刺交換でき、そのうち何社かは具体的な話にはなりました。知り合いの大学教員は、実際に共同研究の締結までいっているので、日本の大学教員も営業活動は大事だと思います。アウトリーチ活動にも繋がりますし。たとえ産業化から遠い研究分野でも、アプローチの仕方と運次第だと思います。若い時に繋がりを作ってkeep in touchしておくと、数年後に思わぬところで共同研究に発展したりします。研究室の立ち上げで余裕が出てきたら、政治力と営業活動にも目を向けてみてはいかがでしょうか?

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