9-1. 研究室のウェブサイト

共同研究や優秀な学生・ポスドクを呼び込むために、研究室のサイト構築は非常に重要です。自分の専門を英語で検索した際に、検索上位にくれば優秀な留学生を確保できる可能性が高まるので、全て英語で書くことも重要になります。

海外の学生が研究室を選ぶ際は、「大学名・場所→研究内容」の順に調べることが多いです。例えば、東大で有機高分子の研究している教員は誰だろう…といった感じです。時には研究内容だけで研究室を選ぶ学生もいます。また、ポスドクの場合は、大学名よりも教員の名前を見て選びますが、その際、必ず研究室のサイトを見ます。優秀な人材確保には彼らを魅了し、かつ彼らに有益な情報を与えるサイト構築が不可欠です。

ドメインは、なるべく所属機関のものを使ったほうがいいと思います。検索に引っかかりやすいので。最近はお金をかけなくてもWordpressなどを使ってカッコいいデザインに仕上がります。忙しい方は制作会社に依頼するのもいいでしょう。私はシンプルで軽いサイトが好きです。大事なのはデザインより内容なので、HTML形式の単ページでも必要な内容がしっかり書かれていればそれでいいと思います。

サイト内容は、誰に見てほしいか、どんな人に研究室に来てほしいかによります。ラボの雰囲気を優先するなら盛沢山のイベント写真も結構ですし、成果で学部生を呼び込むならNatureの表紙を貼りまくるのもいいと思います。企業との共同研究を増やしたいなら応用先や特許を重視すればいいし、研究に熱意のある学生を求めるなら熱く長く持論を語るのもいいでしょう。

研究室サイトに記載すべき項目
  1. 研究内容
  2. 研究業績
  3. メンバー
  4. 連絡先・アクセス方法
  5. 受賞歴・新聞報道・招待講演
1.周囲の話を聞いている限り、一般的な工学系の学生は、研究内容を具体的に決めてから研究室を選ぶわけではないようです。なので、研究内容は、工学系であれば学部生にも分かるように浅く広く書けばいいです。高校生や専門外の企業の方にも嬉しい!

理学系であれば、ある程度興味が固まっている学生が多いようなので、詳細に書くのがいいのではないでしょうか。ただ、頻繁に内容を修正しないといけないくらい詳細な研究内容を書いてしまうと、更新するのが面倒になります。なるべく短い文章で図表を多用するといいでしょう

実験系のラボでは、所有する装置とその機能を書くことをお勧めします。海外在住の人はラボ訪問し辛いので、彼らのやりたい研究がこのラボでできるかを判断する材料になります。また、特殊な装置を持っている場合は、それだけで海外の大学と共同研究に発展することもあります。

2.共同研究をする際には、その研究者が信頼できるかどうかをチェックするため、業績を見ることが多いです。良質の論文を多数、コンスタントに書いていることをアピールするためにも、業績項目は欠かせません。グラント状況や採用情報も書くと、ポスドクからの依頼が来やすいと思います。最近は、学生もこの項目を見て選んでくる場合があるので、毎年の更新が必須です。

3.メンバーも研究室選びの判断材料になります。学会でコンタクトを取りやすくなるので、簡単なプロジェクト内容と写真付きが良いと思います。ポスドクや博士学生には、自分のプロフィールサイトに飛べるようにしておくと、彼らの就職活動に効いてきます。教育姿勢ではなく、社会に対する個人的見解や趣味といった類は、教員個人のブログに書くのが良いと思います。その社会思想に共感して来る理系の学生は、たぶんいないと思うので…

4.連絡先があれば、知らない人からも共同研究提案がきます。また、論文の査読者や編集者などにも推薦されやすいです。連絡先というのは住所、Email、電話ですね。FacebookやLinkedin、TwitterのSNSやskype IDがあってもいいかもしれません。研究室のアクセス方法も書いておくといいでしょう。多くの場合、外部の人にとって大学は迷路です。

5.受賞歴などは必須ではないですが、「勢いのあるラボだ」「ちゃんと学生を教育している」と判断できるので、学部生へのアピールになります。セミナー予定もいれておくと、企業の人や興味のあるポスドクなどが発表を聞きに来てくれるかもしれません。

最後に個人的に勧めるのが、なるべく更新頻度が少なくて済むサイトの構築です。例えば研究室のnewsをtwitterで呟くだけにするとか、研究業績をGoogle scholarやResearch map、ORCIDのリンクを貼るだけにするとか、イベント情報をgoogle scheduleにするとかです。見る側が欲しい情報を簡単に得られたらそれで研究室のサイトとして十分です。うまくサイト構築できたら、毎年更新するのはメンバー欄だけで済むのではないでしょうか?


《参考サイト》
Chem-station

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