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テニュアトラック制度は、若手研究者の独立をサポートする制度です。独立して研究室を運営するには研究費を獲得しないといけません。研究費を獲得するには論文を出版しないといけません。論文を出版するには研究成果を出さないといけません。ということで、「最初の数年間は十分な研究費をあげるし、他の教員よりも授業や大学の雑務を減らしてあげるから、研究に専念して研究費を取ってきて、完全に独立してね」という制度です。この要求を達成できればテニュア(終身雇用)を獲得することができます。


【応募前】
テニュアトラック助教に応募する前に準備しておくことをココに挙げておきます。


【0~6か月目
テニュアトラック助教の採用おめでとうございます。素晴らしい門出ですが、テニュア審査に合格するまで安心できません。これからがスタートです。大抵、3年目に中間審査があり、5~7年目にテニュア審査があります。成果を出すのに1年、論文が出版されるのに1年、研究費の申請が採択されるのに半年、ということを考えると、3年というのは非常に短いです。出だしが大切です。テニュアトラック通過後にすることは、4月採用の場合、
  1. 給与や実験室面積の交渉(1月上旬)
  2. 将来設計(1月下旬)
  3. 大型実験装置の購入、ポスドク・スタッフ・学生の雇用(2月)
  4. 家の引越準備(3月上旬)
  5. 研究費の申請(3月中旬)
  6. 教員室居室実験室の施工(4月上旬)
  7. 共同研究先の探索学会発表申請(4月中旬)
  8. 各種トレーニング・共用装置の利用(4月下旬)
  9. webサイトの構築授業準備
となります。海外の場合は、引っ越しするまでにしっかりと下準備(1~3)をしておかないとテニュア獲得の道が遠のきます。指導教員との共同研究も認められません。自分の力で出した業績で研究費を取る必要があります。私の場合は日本の大学なので、1と3は不要ですし、指導教員との共同研究もokです。外部サイトですが、1はココ、3はココが参考になります。


【6か月~2年目】
地方大学で若手研究Bの予算で始めました。実体験を含む情報は下記の通りです。

 I. 実験と論文執筆と助成金申請の実際の流れ
 II.  機器・用具の購入
 III. 政治をうまく活かせ!

この2年間はきつかったです。常に実験+論文執筆+予算申請している状態で、授業・卒論指導などがあるわけですから。この間に、子供も生まれましたし。ただ、大型予算を獲得しても、米国ほどのプレッシャー・シビアさはなかったので助かりました。あと、お金に関わる活動以外で出張しなかったのは、この2年間が初めてかもしれません。学生やポスドクとの大きな違いですね。


【3年目】
研究と教育活動の幅を広げつつ、意識し始めたのは下記の通りです。

 C. 学会運営大学運営
 D. アウトリーチ活動、コンサル

この3年で一気にCVがPIらしくなりました。研究室も形になってきました。ここまでやり切って、無事に30代前半ながらテニュアを獲得できました。テニュア獲得条件は、大学や学部によって様々ですが、一例をココに紹介しておきます。PIになる際の全てはココ(外部サイト)にまとめられています。


【4年目以降】
研究室が立ち上がると、次のフェーズに移しました。PI自身が実験をバリバリやらなくてもラボから継続して成果が出せ、世界で活躍できるレベルの学生が育ち、科研費のみで研究室を運用できるようにしておくフェーズです。詳細をココに記載しておきます。

上記の情報が、少しでも皆様のお役にたてると嬉しいです!